2007年04月03日

イラストレーションの可能性

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ART BOXでは、先週からNEW ILLUSTRATORS FILEの出版記念展を開催しています。

時代の潮流を敏感に感じ取り、反映させるイラストレーションは毎年ごとに開催される記念展でも、常に新しい発見と出会いの連続です。

その中でも特に最近よく思うのが、イラストレーションの販売について。

ひと昔前までは「イラストレーション=受注制作」の図式が強く、作家自身も「販売」を念頭に置いた作品制作は、あまりされていなかったように思います。

しかし、作品のデジタル化が進み、プリンターのクオリティ向上・インターネット環境の整備などに伴ってでしょうか、自身のWEBサイトで、個展でetc
...いたる所でイラストレーションが売買されています。

今回の記念展でも、すでに数名の作品が、販売成立となりました。

一点ものの絵画と違い、同じ作品が同じクオリティで提供できるのはデジタル出力のよい所ですね。

「デジタル」という力強い味方を得たイラストレーション。
今後の可能性は無限に広がってゆくような気がします。
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2007年03月15日

白い籠の花

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ここ数日、寒さがもどった感がありますが、春はすぐそこ。

そんな陽気にちなんで、素敵な花の作品をご紹介します。

華やかな植物画が印象的な平田英子さんは、2005年に出版された年鑑作品集:アーティストが表現する 花 の出版記念企画展でも沢山の素敵な「花」をモチーフとした作品を出品していただきました。

白日会会員でもある平田さんの作品は、写実的で色鮮やかな作品が多いのですが、どこか詩情的な、ストーリーが潜んでいるような不思議な印象があります。

それも、平田さんが対象物との出会いを大切にし、じっくり対話しながら描いているからなのかもしれません。

この「白い籠の花」からあなたはどんなストーリーを読み取るでしょうか?

▼白い籠の花 詳細
http://www.artbox-int.co.jp/cgi-bin/database/database.cgi?cmd=dp&num=5705&Tfile=Data&DpType=default.html

▼平田英子作品一覧
http://www.artbox-int.co.jp/seek/index/p0013_index.html

▼2005年の展覧会の際、色々とお話を伺いました
http://www.artbox-int.co.jp/voice/interview/hirataeiko.html
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2005年06月16日

黒と白からの息吹。

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梅雨です。毎日雨続きで湿気がひどい関東地方。様々な紫陽花を至る所で目にします。ちょうど見頃です。
雨は恵といえど、やっぱり布団は干せないし、靴から鞄まで雨の日用のを選んだり防水したりと何かと手間がかかりますね、。でも雨の日だからこそ何だか今まで見ていた景色が一変したり、普段見かけない生き物に遭遇できたりする発見も沢山あります。
洗濯物の部屋干しに慣れてくる頃には、夏がやってくるでしょう。

けど、やっぱり憂鬱な雨続き、美人に雨は良く似合うとか言いますので、今日は初の女性作家のご紹介。新井リコ(アライ リコ)の版画をご紹介します。

群馬県桐生市に誕生した新井リコは、その後東京芸術大学油絵科を卒業します。
その後の版画への転向は、嫁ぎ先で色々な狭さを感じる中、場所が無くても時間がなくても出来たという理由がひとつにあったそうです。

田舎で見かけた様な風景だったり、そんなようなんだけどどこか幻想的でロマンティックな感じだったり。それらの作品はまるで、大事にフゥ、と息を吹き込んで生き還ったものたちのように私達を出迎えてくれます。

新井リコ作品<いのちひらく>
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2005年06月09日

空気を感じる。

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先週田舎で蛍を見ました。完全に太陽が落ちた夜8時を半分程まわると、ポ。ポ。と光出し、フワフワと飛んでいました。子供たちは既に服の跡が出来るほどに日焼けし、膝や肘は擦り傷だらけ。多くの関節を複雑に絡ませまさしくムシ色に照り輝く昆虫をバンバン手で追いかけ回します。
蛍を見る大人の視線、虫を追いかける子供の視線、存在の数だけ視線が交差していると改めて考えると、深い迷路に陥りますね。

さて、今日は版画家、山本桂右の版画をご紹介したいと思います。

生物や風景もシリーズとして多く制作をしている山本桂右ですが、とりわけ印象に残るのはシリーズ「光・時間・静寂」。

部屋の中に無造作に置かれているかに見える椅子やイーゼルに、優しく激しく降り注ぐ光源は、絶対に自然光だと疑いようのないほど暖かく、そして確実に「光」を与えてています。
伝わってくる雰囲気は、たった今まであったであろう「存在」。見ている内にグッと奥へ引き込まれる視線。
清廉な後味がスーッと染み入って来るような版画です。

大阪に生まれた山本桂右は、大学では油絵を専攻しますが一転、版画へ。描き出されたそのものの物質的存在ではなく、画面から溢れる空気を堪能させてくれる作品です。

山本桂右 作品<光・時間・静寂 No,22>
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2005年05月26日

いらっしゃい。

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寒暖激しい5月となりましたが、こんな中途半端な気候のまま梅雨、そして夏?なんだか体が追いつきませんが暦は止まってくれません。だんだん夏が近づいてるのだなと思ったのは、先週末の祭りラッシュ。三社祭(東京・浅草)、葵祭(京都・左京区)、嵯峨祭(京都・嵐山)、御幸(鳥取・大山参道)、ちょうちん祭(愛知・名古屋)、、などなど、有名なものから耳慣れないものまで、全国各地で初夏を告げる祭りが行われたようです。

さて、本題。本日は吹田文明の木版画をご紹介したいと思います。

徳島県阿南市に生まれた吹田文明は、当初油絵を描いていたようです。その後、水性と油性の絵の具を併用して刷り重ね、独自の木版プレス機を考案して、現在のような独特な木版画の世界を確立しました。

こうした吹田文明の木版画は国内外で高い評価を受け、現在に至っています。

吹田氏の版画には、リンゴや蝶といった具象と星や宇宙のような抽象が折り混ざり合っているものがある。それを見ていると、ワタシは不思議に「祭」を連想してしまいます。盛大な祭が行われている所より少し外れた、唄や囃子が微かなラジオの音の様に聞こえる場所。近所の神社での小さなお祭り。「神楽」。カレイドスコープの中に拡がる幻想の国。
鮮やかで意味深な色彩と多様な形を形成する線は、鑑賞するものと鑑賞されるものといった定義から既に解き放されていて、一体となり自己の想像力を超越し未知の領域へ誘われる感覚を呼び起こします。

海中の様にも、提灯の様にも。
彼岸花の様にも、打ち上げ花火の様にも。
蝋燭に灯った火の様にも、ヨーヨーの様にも。

あなたにはどんな風に見えますか?↓↓↓

吹田文明 作品<遠い夢>
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2005年05月12日

「僕は描くのだ。 未知の壁を。」

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スプリングコートの出番もないまま薄手の長袖一枚で十分なまでに急速に暖かくなった気がします。美術館巡りも足が軽い季節がやってきたと思えばもう少しで梅雨の季節です。今が一番いい気候の時期ともあって、各地でビックな展覧会が催されてますね。中でもドイツ関連のものが今年は目立つ気がします。なかなか進んで触れることのない分野(私的)なので一目見ておこうとは思いますが、やっぱり土着度の高い私的には東洋的なものを求めてしまいます。そんなこんなで欲求不満解消も兼ねて、本日は前田常作のご案内です。

 きっかけは戦後、仏留学中に前田常作自身の作品を見た人から「チベットのマンダラのようだ」といったようなことを言われたことから、以来マンダラに惹かれはじめ一貫してマンダラを描き始めたそうです。そして現在の前田常作=マンダラが築き上げられたんですね。ということは、当初それを意識して描いていたわけでもないのに、仏人(?かどうかはわからないけど、)から見るとそういった要素が見られたということでしょうね、きっと。

まるでCGのように現代的、いや未来的に表される前田先生のマンダラ。古来マンダラにはない色のグラデーションであったり細かい模様だったり独自の個性的な表現が網羅されていて、宇宙創造の神秘、生命の摂理、人類の叡智といった奥深いテーマが凝縮されてるのは勿論、宝珠や三鈷杵を用いた表現も目を惹かれます。

チベットであったり西国、インドから伝来した古来のマンダラを一見しても、なんだかすごいものだということは感じるけど、何がなんだか解らない。けど、何だかすごい。てな感じです。
私が思うに、前田先生のマンダラはもっと私にはわかりやすく見えます。そう言ってしまうと軽々しく聞こえたらそれは望むところでないのだけれど、もっとこう、大きなスケールとして捉えやすい。宇宙的スケールで表現されているのがスムーズに自分の中に入って来るような、そんな感じです。

百聞は一見に如かず、前田常作の作品はこちら
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2005年04月21日

原点に還る。

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小林敬生の言葉「テクノロジーの進歩に人間が翻弄されているように私には思える。人間の思い上がりが自然の摂理を狂わせているようにも・・・。私達は今一度、謙虚に生き物の一人であることを認識すべきではないだろうか・・。様々な新型ウイルスの出現は、小さな生き物たちの報復にも思える。」(2004年7月)

 この言葉を聞き作品を見れば作家の言わんとする事がよりわかるだろう。

 今週のAERAに「生きるために必要なものは?」としたアンケートの結果が掲載されていた。それは作家・倉本聰氏が元々富良野塾の生徒に行ったもので、その結果に興味をもったある人が都会の人に同じアンケートを行いそれぞれの結果を比べているものだった。都会の人々の回答は「金」「携帯」「車」など。熟生の回答は「水」「火」「ナイフ」などだった。お金があっても携帯でメールをし放題でも、水や火がなくなればそんなもの何の役にも立たなくなる。そのことを覚えている気になっているのが恐いことだと思う。

小林敬生作品<蘇る星-序章-A->
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2005年04月16日

「庭」

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春の象徴桜の花はここ関東ではあっという間に葉桜に。あの刹那な所が、日本人の桜好き心をくすぐるのでしょうか。桃やユキヤナギやマグノリアや菜の花でも、お花見して欲しい。お花見=宴会=乱痴気騒ぎ−なんて図式は捨て去って、しっとり小粋に花を愛でるのも良いのでは。


 さて、今週は、版画家、馬場 章(ばば あきら)についてのご紹介です。


 1952年福岡に生まれた馬場章は、1976年東京芸術大学大学院版画専攻を修了。現在女子美術大学で教授を務めながらも国内外多数の展覧会に出品し精力的に作家活動を続ける作家です。
 身近なものに視点を置き、収集・構成しているその作品からは、順応する際に生じるエネルギーを感じとることができる。

96'より作成されていた「庭の一隅」シリーズから、近年では「garden」と名称を変え作家の<garden>は試行され続けている。誕生した<存在>は環境に、境遇に、刺激に、あらゆるものに対し適応を試みる。それが垂直に表れるか歪んで表れるかは、順応する際に起こる摩擦や圧力に必ずしも比例するとは限らない。幾度も幾度も状況に的確に、反応を繰り返しあるべき姿へと育って行く。

それ故に、興味が尽きることは無く追求することが出来るのではないでしょうか。<庭>を探し、<種>を選び、<土>を学び、<肥料>を調合し、<実>をつける。循環器系や食物連鎖を連想させるこれらの一連は、作家を魅了し続けることでしょう。

馬場 章 作品<garden XVIII>はこちら
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2005年03月31日

「銅板画は内面を表出させる毒のようでもある」

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銅板画の世界に於いて確固たる技術を確立した渡辺達正は、恩師駒井哲郎との運命的な出会いから銅板画に傾倒し、銅板画の系統を受け継ぐ作家として広く知られる作家です。

渡辺達正が描く銅板画は植物や動物のモチーフが多く、重厚な静けさの中に浮かび上がるそれらは非現実的で幻想的な印象を与えます。「銅板画は内面を表出させる毒のようでもある」とは作家の言葉ですが、それは必ず誰もが持ち合わせている陰陽表裏の隅々までもが作品の上で露呈されることを一方では望み、喜び、また一方では恐怖を感じることを客観的に捉えてこその言葉だと思います。

地に根を張った技術と豊かな感性を持って露呈される作家の素顔が作品にはありありと現れています。

渡辺達正 作品<細長い魚>
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2005年03月24日

旅の空から 光のメッセージ

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今日は春の嵐が吹くなんて地方もあるらしく、やっとそれらしい気候になってきました。先日皇居を通りましたが、早い桜はちらほら花を咲かせてました。本日は、そろそろ炬燵から這い出す皆様の行動力を援護する気持ちで、旅の木版画家・爲金善勝<タメカネヨシカツ>のご紹介です。

人は何故旅にでるのか。必要な「何か」を探すため?そんな想いに駆られて若かりしころ爲金善勝はインド・ネパールへと旅立ちました。そこでは確かに「何か」を得、幸福と満足感でいっぱいでしたが、後に「日々生きること」自体が旅なのだと感じるようになりました。そんな爲金善勝は、今も心の一部が旅を続けている所からメッセージを受け取り、木版に刻みつけます。彼の言う、旅の空からのメッセージを。

為金義勝 作品<種の起源(II)>
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2005年03月17日

日常の眼差し。

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「見ること、そしてそれを表現することにあるならば、−−私は現実に見た。そして私の肉眼を通して描いた。それだけでよいのかもしれない」<相笠昌義スペインレポートより>

相笠昌義は俗にいう感性の画家タイプでななく、感じたまま・見たままを画面に写し取り自分の色に着色していまう画家のように思う。彼の感じた駅・子供・動物園・公園、そういった所在もない日常の風景がグシュっと上からプレスされたようにデフォルメされて作家の色になっている。それらの作品は、どこか不気味で恐ろしくもありながらユーモラス。その一見なんの変哲もない日常を象った作品の中から、一体どれだけの人が全てを感じ取れるでしょうか、。

相笠昌義 作品<メキシコにて、タコス望景>
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2005年03月10日

懐かしくて、新鮮。

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時間の経過と記憶をテーマに描き続ける版画家高橋シュウの版画は、どこかで望見したような懐かしさと新鮮さ、相反するこの二つの感覚が沸き起こります。画面に描かれる沢山の四角は無常な時間の集積を、図面のような格子は客観性の象徴であり、それらは記憶を引き出す効果となっていますが、そこに外せない作家の心の視線を感じとったとき、新鮮さが加わり私たちの目を飽きさせることなく作家の作品へと誘われます。

情報過多な現在、見たくない、見なくていいものまで目にして自分ではそうとは気づかず錯乱している作品も少なくない今、自分への真実のみを時間を刻みながら描き続ける高橋シュウの作品と出会ってみませんか?

高橋シュウ作品<記憶-風・土>

作品集もあわせてどうぞ
posted by ART BOX at 17:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ■今日の1枚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月24日

春一番が呼ぶ版画

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この寒い季節からようやく脱却できそうですね。冬に終わりを告げる風・春一番が昨日吹きました。今回はそんな春を呼び込む温かい版画を紹介します。

松島順子は、風(Breeze)や落葉(Leaves)など自然をテーマにした作品を多く手掛ける版画家です。その中でも、Breezeシリーズは、日本特有の淡く鮮やかな色彩と透明感が見事に溶け合い、今にも作品から風が吹いてきそうな幻想を与えてくれるだけでなく、どこかノスタルジックな情緒を感じさせてくれる一枚です。また、儚さの象徴でもあるように思えます。永続的な事物を対象にはせず、むしろ時間の限りや瞬間が美しい物に焦点を当て、それを一枚のスクリーンに残す試みを続けている、そんな版画家ではないでしょうか。

過ぎ去らぬ寒さに我慢ならない夜は、この一枚を鑑賞していたいものです。
あたたかな風が呼ぶ、ほんの一瞬のやすらぎに身を委ねて…。


松島順子作品<Breeze no.5>
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2005年02月17日

色とカタチが命

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これからの活躍が一層期待される中山隆右は、1999年までのモダンでポップな作品が印象的な版画家ですが、実は2000年よりこれまでの「スペクトラム」から離れ、新しい表現を追求し始めました。

これまでの寒色は、暖色との対比をとるために施され、際立つ赤は、どこか物憂さを感じさせ、隠れた具象物がまったくそのままのカタチでは意味を持たないように見えるのです。

中山隆右自身と共に新しいテーマを求めて旅をしているような気分になる「スペイン紀行・夏」。月々の出会いのイメージを色とカタチに映し、その均衡をはかるための果てしない旅。その旅の終着駅で待っているのは、彼の作品をご覧になったあなたかもしれない。

中山隆右作品<スペイン紀行・夏 Barcelona sumer>
posted by ART BOX at 18:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ■今日の1枚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月10日

小梅ちゃんの前は、さっちゃんだった。

先日、銀座2丁目・プランタンの近くにあるスパンアートギャラリーに行ってまいりました。昨年の宇野亜喜良展(「白猫亭」原画展---追憶の多い料理店)が大盛況だったこのギャラリーでは今、ロッテの"小梅ちゃん"でおなじみの林静一・出版記念展が開催されています。オープニングパーティーには、モデルの市川実和子さん(「小梅ちゃん」の本で対談していた)ほか、さまざまなアーティストが来廊していました。展示されている大半が日本画や版画で、その美しさに目を奪われながら、パルコ出版より刊行された「淋しかったから くちづけしなの」にサインをしてもらいました。

さて、林さんの作品と言えば和装美人ですが、皆さんはそれ意外のモチーフを御存じでしょうか?
実は林さんはガロ出身の漫画家です。もちろん、ガロだけにナンセンンス漫画なのですが、その頃の作品を御存じでしょうか?あがた水森の歌にもなった「赤色エレジー」は、林さんの傑作漫画にあたると思います。何しろ、これを読んだ人は皆、結末に悩まされるのです。(もちろん、その結末は人によって千差万別なのですが…)さっちゃんの純真な強さと弱さ。そして、それをなんとか受け入れようとする一郎。でも、一郎には漫画家になるという夢があった。
シュールなユーモアに切ない恋のメロディが重ねられたその作品は、これから社会人になる人、クリエーターを目指す人に必見です。なぜなら、そこには才能で食べていく上でついてまわるジレンマが見事に描き出されているから。

そんな訳で今週の版画は、実際に足を運んで見て欲しい林 静一・原画展の紹介でした。

▼スパンアートギャラリーの展覧会情報
http://www20.big.or.jp/%7Esag/main/fset_2/fs_e.

▼林静一さんのホームページ
htmlhttp://www.hayashi-seiichi.jp/
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2005年02月03日

限りなく温かいブルー

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寒波だからこそ暖色系と思いがちな方に、なぜか心温まる寒色の世界をお届けします。

笠井正博さんは版画だけにとどまらず、エディトリアルや壁画なども手がけている多彩なアーティストです。版画に至っては主に与那国島をイメージした作品が多く、バリエーションが広いのも特徴の一つ。グラデーション作品を得意とするだけに、暖色から寒色まで、その色使いに思わずため息が出てしまいます。

さて、与那国島シリーズのブルーですが、一見ただのグラデーションと思いつつも、目を凝らして見ると実際には波のラインや風のラインなど、細部まで描かれていることが分かります。規則的な線なようで実は不安定だったり。透明度の高い濁りなきブルーは、心を落ち着かせ、温かい日ざしをも、もたらしてくれます。

今夜も冷えそうですね。
楽園の風を感じるブルーをブランケットにして、眠りについてみてはいかがでしょうか。

笠井正博 <YonaKuni(VII)>


▼笠井正博のホームページ
http://www.offbeat-ed.com/kasai/
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2005年01月27日

版で奏でる色譜、詩人のストーリーを探る。

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版を刷る表現者が、まさかその機具や機械を造ってしまうとは…
電気ベルソを自ら考案した深沢幸雄は、日本銅版画界の第一人者である。メゾチントという技法をこよなく愛し、表現方法を発展させていった版画家でもある(最近では銅版3版混合技法が新しい)。シュールなブルーを版に刷り込みながら、深沢幸雄は一体どんな詩を綴っているのであろうか。

深沢幸雄の作品には、慈悲深い顔をした人と幼気な顔をした人、それら相反する両者がよく現れる。渾沌とした色の中に見え隠れする切ないロマンス、小鳥のさえずり、ト音記号のダンス、渦状の城から飛び出る歪な星。そんな色譜に隠されたストーリーを考えながら彼の作品を鑑賞してみて下さい。

「ミス フォルティッシモ」
ひょっとすると彼女は望郷の彼に捧げるバラードを口ずさんでいるのかもしれません。

深沢幸雄 作品<ミス フォルティッシモ>

※ベルソ…メゾチントに必要不可欠な金属製のきめの細かい櫛のようなもの
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2005年01月20日

音を運ぶ版画家・池田満寿夫

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日本を代表する版画家と言えば誰か?おそらく大半の人がこの人の名を挙げるだろう。

池田満寿夫。

彼は決して物故作家であるが故に価値をつけられた訳ではない。そもそも、多くの人が彼の名を知ったのは、文学の世界であの芥川賞を受賞した時であった。

線密さが価値の高さを象徴していた時代の革命児であり、異端児とも呼ばれた池田満寿夫の作品には、耳を澄ませば今にも音楽が聞こえてきそうな旋律と、身体をかけめぐるようなビートが潜んでいる。池田満寿夫は明らかに版画家ではなく、DJなのである。

部屋に飾ったらどうだろう?
オーディオをONにしなくても、勝手に身体が揺れてしまうかもしれない。
バーカウンターに飾られていたらどうだろう?
ちょっと洒落たカクテルをオーダーしたくなるかもしれない。

そんなオシャレな空間には欠かせないアート、それが池田満寿夫の版画なのかもしれない。

池田満寿夫 作品<ナイトクラブ ミュージック A>おまけ-おすすめ著書-
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