朝の9時半に国立新美術館に行けば、館内の一角に人だかりができていました。大山会長、橋本理事長をはじめ、日展を代表する先生がたとご来賓各位がズラリとならんでおられました。間もなくテープカット。オープニング・セレモニーです。今年も日展が始まるんだな、と思いました。広報を取り仕切るPR会社・IPRの白岩さんと小松さんにご挨拶をしようとプレス窓口を探すも、人ごみに紛れて窓口は見えず。
テープカットの瞬間を収めようとカメラをむけるも、人が多すぎて何も見えません。あわててエスカレーターで2階に駆け上がるも、柵にまで人が群がってスピーチを聞いています。下の様子を撮るには柵の向こうにカメラを差し出さなければなりません。手を滑らせて人だかりにカメラを落とす図を想像すると背筋が凍り、遠くでテープカットにわきおこる拍手を聞いていました。大変な盛況ぶりです。
今年の日展は1階が日本画メインで一部が洋画、2階は洋画・工芸美術・彫刻、3階に書という構成。展示を拝見していると、福田千惠先生・湯山俊久先生・藤川素子先生などお付き合いのある先生がたがいらっしゃり、ご挨拶などしておりました。中山忠彦先生は声をかけることすらはばかられるほどご多忙そうでした。
どこの展覧会でも、先生がたは初日にいらっしゃることが多いのです。作家さんとの新しい出会いを求め、作品について気がついたことを直接作者にたずねるには最良の機会です。また作家の言葉に気づかされることもあります。藤川素子先生の水晶をモチーフにした作品のディティールを間近でチェックしていると、ご本人から「離れて見てちょうだい」とお叱りを受ける始末。湯山俊久先生には、前回までの会場だった都美術館と新美術館の照明の違いを指摘されました。明るさが違うと絵の発色も一変します。慣れない美術館の明るさに合わせて描かなければならないのも大変なご苦労でしょう。
今年、特に印象的だったのは日本画の展示でした。高山辰雄先生の遺作が3点展示されていました。息を飲み、その場に釘付けにされるような作品でした。新美術館の日展で拝見するのは恐らくこれが最初で最後でしょう。しっかりと目に焼き付けておこうと思いました。白眉は『少女』という作品でした。福田千惠先生は「初めて拝見したとき、背中に水をかけられるような衝撃を受けた」とか。白鳥映雪先生の遺作展示もあって、感慨もひとしおでした。
他、各科トップを中心に心機一転、気合いの入った作品がならんでいました。会場も変わって試行錯誤の点も多いかと思いますが、見るべきところの多い第39回日展でした。今後の発展が楽しみです。
2007年11月05日
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高山辰雄先生の作品は写真では拝見してましたが、やはり写真と現物は全然印象が異なりましたね。あの人にしか描けない独特の世界観を感じました。
また白鳥映雪さんも同様に幻想的な色使いで美人画の世界を堪能できたような気がしました。
お二人とも今年亡くなられたのが本当に残念に思いました。
しかし日展100年の新しいスタートを機に、他の画家さんにもすごい力強さ等も感じましたので期待していきたいです。
個人的には山崎啓次先生シリーズが好きなので水煙は裏モチーフの水が今年も描かれていたのでよかったです。
http://yamazakikeiji.web.infoseek.co.jp/
日展を拝見して以来、ギャラリーなどで若い作家さんと会うたびに高山先生の話ばかりしているような気がします。「今年だけは絶対に日展をご覧なさい、高山先生の絵を観ておかなきゃ駄目だよ、もう毎年観られるわけじゃないんだから」と。特に洋画の若い作家さんには日展に行ったこともなければ、先生の絵を観たことがないという人が多いようです。
なぜ高山先生が年令や立場を越えて敬愛されたのか、なによりあの三枚の絵に向き合うことで感じ取ってほしいと思いました。
山崎先生の絵は静謐ながら自然の微妙な息づかいや動きを捉えるのが巧みですね。見飽きない絵だな、と思います。
個人的には森脇正人先生の渋い渋い絵が好きでした。