2007年10月31日

高山辰雄先生

ほどなく国立新美術館で日展が始まります。展示品の充実ぶりも手伝って「日展100年」展は盛況、一世紀の節目に真新しい会場での開催とあって、一般の関心も高いことと思います。出展者の皆さんも例年以上の気持ちで制作に励まれたことでしょう。楽しみなことです。

残念なのは高山辰雄先生がお亡くなりになられたことです。「残念」というより「痛恨事」と言うべきかもしれません。ご高齢だったから、天寿を全うされたのだ、という声も聞かれます。しかし近年のお仕事を拝見すれば、筆と志に衰えはなく、まだまだ生きて新しい画境を開きつづけてくださったならば、と惜しまれてなりません。大山忠作先生がおっしゃるように、日展の節目に高山先生の作品がないのは本当に残念です(遺作展示はあるかもしれませんが)。

霧のなかから立ち上がってくるような花・人・鳥・山河には、辺りを払う清らかさと静謐がありました。先日は日本橋三越で牡丹図を拝見しました。数メートル半径に作品の気が充満し、異世界を作り出しているように感じました。紙に乗せられた一筆一筆が念の塊のようでした。衒いも大仰さも華やかさもない、素朴で真摯で心をとらえてはなさない絵でした。日本画壇の頂点にあって業半ば、一体どのような高みを目指しておられたのか、思いは尽きません。

作家それぞれ望むことは違います。ただ高山辰雄という画家が現に生き、最後まで真摯に描きつづけた事実そのものが、年齢とジャンルを超えた多くの制作者を勇気づけ、ひとつの指針となっていくことでしょう。

現在、静岡・資生堂アートハウスでは高山先生の作品37点が展示されています。練馬区立美術館でも回顧展が予定されているようです。静岡は無理ですが、練馬のほうは万難を排して行くつもりです。

高山先生の画業が美術史のなかでますます輝いていくよう願うとともに、御冥福をお祈りいたします。

ART BOX スタッフ(S)
posted by ART BOX at 15:20| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ■スタッフの日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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