2009年03月05日

『アーティストが表現する裸婦』

現存作家の裸婦表現のみを集めた作品集『アーティストが表現する裸婦』の制作が始まったのは一昨年末のことでした。悪化していく経済状況と大小さまざまなトラブルにも見舞われ制作は難航を極めました。その本が間もなく発行されます。進行が滞り作家さんや上司・同僚に迷惑をかけつづけた1年数ヶ月でした。担当者としては「ついに」というより「やっと」という心境です。

企画が始まったころに作家・美術関係者たちと話をするなかで裸婦表現についての無知を思い知ったこと、古本屋やインターネットで絶版になった画集を探し回ったこと、休みになれば竹橋・乃木坂・木場いずれかの美術館資料室に通って勉強をしたこと、酷いミスを犯して某大家を激怒させる悪夢に飛び起きた夜また夜のこと、出版が頓挫する初夢に胃痛をもよおしたこと…。日々、裸婦で頭がいっぱいでした(美術作品のことですが)。

良い思い出もあります。美術館資料室の蔵書によって物故作家の仕事や現存作家の過去を知ることができたのは職業上貴重な経験でした。加山又造先生・高山辰雄先生・片岡球子先生・國領經郎先生・小松崎邦雄先生・牧野邦夫先生、最近亡くなった大山忠作先生や森田茂先生の裸婦表現にはそれぞれの作家性・技量・魅力が凝縮されていたように思います。山本貞先生・石踊達哉先生・金山桂子先生などがかつて裸婦を描いていたことも古い図録を調べて初めて知りました。

何より嬉しかったのは多くの作家さんたちと交流が持てたことでした。殿上人のように思っていた野田弘志先生や木下晋先生は私の与太話にお付き合いしてくださり、さまざまな疑問にも丁寧にお答えくださいました。谷神健二先生にお会いした時は、変わった画風が人としての純粋さゆえだと確信しました。温厚篤実な島村信之先生からは画家としてのプロ意識を感じ取りました。他にも多くの作家さんたちの厚意に支えられ、その姿勢から多くを教えられました。

『アーティストが表現する裸婦』は社内外問わず多くの人たちの力と見識を束ねてできた本です。断じて担当者の趣味嗜好や能力の産物ではない。それでも私個人が作品・作家・書物から学んだこと・その時に感じた驚きが一部であれ手に取ってくださる方たちと共有できるならば幸いです。

「アーティストが表現する裸婦」出版記念展
http://www.artbox-int.co.jp/seek/index/p0129_index.html

(S)
posted by ART BOX at 09:53| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ■スタッフの日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
絵をたしなむ者です。

2、3年前に金山桂子先生のご指導を受けていたのですが(カルチャーです)
先生が裸婦を描かれていたことは全く知りませんでした。お恥ずかしい限りです。

先生から裸婦も教えていただきました。
我ながら、先生の教えを受けてから、ものすごく裸婦の絵の勉強も進みました。

早速画集で先生の作品を拝見しようと思います。


Posted by みんみん at 2009年03月20日 01:45
コメントありがとうございます。

私自身、古い図録で裸婦を描いていらっしゃるのを知ったときはかなりの衝撃を受けました。本を作る人間としては恥ずかしいことだと思います。

しかし、所属する日展・光風会の作家さんたちの多くも「知らなかった」「意外」とおっしゃっる方は少なくなかった。描く側としてはあまり恥ずかしい話じゃないかと思いますよ。

良い先生ですよね、金山先生は。裸婦の絵も非常に良かったです。ふわりとした気が漂う、空間構成が見事な作品でした。
Posted by S at 2009年03月27日 10:45
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